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ポルトガル語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポルトガル語
Português
[puɾtuˈgeʃ] / [poɾtuˈges]
話される国 ポルトガルブラジルアンゴラモザンビーク
地域 ヨーロッパアメリカ州アフリカアジア
話者数 2億1000万人
話者数の順位 8-9
言語系統 インド・ヨーロッパ語族

 イタリック語派
  ロマンス語
   西イタロ語
    西部
     ガロ・イベリア語
      イベロ・ロマンス語
       西イベリア語
        ポルトガル語

公的地位
公用語 下記参照
統制機関 Instituto Internacional de Língua Portuguesa; CPLP
言語コード
ISO 639-1 pt
ISO 639-2 por
ISO 639-3 por
SIL

ポルトガル語Português Pt. [puɾtuˈgeʃ] Br. [poɾtuˈges])は、主にポルトガルおよびブラジルで使われている言語である。俗ラテン語から発展して形成されたロマンス語の一つで、スペイン語などとともにインド・ヨーロッパ語族イタリック語派に属する。

スペインの作家セルバンテスはポルトガル語のことを「甘美な言語」と、ブラジルの詩人オラーヴォ・ビラックは「ラティウムの最後の、粗野で美しい花」と評している。

目次

[編集] 話者分布

ポルトガル語の分布
ポルトガル語の話される地域(詳細は地図をクリックすること)
国または地域 母語話者
話者 人口
(2005年)
アフリカ州
アンゴラ1, 7 60% 不明 11,190,786
カーボベルデ5 4% 72% 418,224
ギニアビサウ2, 6 不明 14% 1,416,027
モザンビーク1 9% 40% 19,406,703
サントメ・プリンシペ2, 5 50% 95% 187,410
赤道ギニア2, 5 50% 95% 523,040
非公式:
ナミビア2, 3 20% 20% 2,030,692
南アフリカ共和国3 2% 2% 44,344,136
アジア州
東ティモール2 不明 15% 1,040,880
マカオ, 中華人民共和国 2% 3% 449,198
非公式:
ダマンとディウ, インド2 10% 10% 不明
ゴア, インド 3-5% 5% 不明
ヨーロッパ州
ポルトガル 100% 100% 10,566,212
非公式:
ルクセンブルク3 14% 14% 468,571
アンドラ4 4-13% 4-13% 70,549
フランス4 2% 2% 60,656,178
スイス4 2% 2% 7,489,370
アメリカ州
ブラジル 98-99% 100% 186,112,794
非公式:
パラグアイ4 7% 7% 6,347,884
バミューダ4 4% 4% 65,365
ベネズエラ4 1-2% 1-2% 25,375,281
カナダ4 1-2% 1-2% 32,805,041
オランダ領アンティル4 1% 1% 219,958
アメリカ合衆国4 0.5-0.7% 0.5-0.7% 295,900,500
# 公式統計、モザンビーク - 1997年; アンゴラ - 1983年

  1. 政府、カトリック教会による予測
  2. 公的なポルトガル語教育
  3. 移民の人数から
  4. ポルトガル語系クレオール言語の話者数
  5. ポルトガル語系クレオール言語話者の大部分
  6. ポルトガル語系ピジン言語と簡易ポルトガル語が共通語として他部族とのやり取りに使われている。アンゴラ人の30%はポルトガル語のみを解するモノリンガルである。他の国民もポルトガル語を第二言語とする。

ポルトガル語を母語とする人口は、約2億人である。ポルトガルの人口は1000万人程度だが、1億8000万人の人口を抱えるブラジル公用語になっているため、話者人口は多い。ポルトガルおよびその旧植民地に分布し、世界で7番目または8番目に大きな話者人口を有する。複数の大陸にまたがって話される数少ない言語の一つでもある。現在ポルトガル語を公用語としているのは、以下の諸国と地域である。

(赤道ギニアについては主要公用語はスペイン語だが、ポルトガル領であった歴史もあることから2007年にポルトガル語が公用語に追加された)

マカオと赤道ギニアを除く8カ国はポルトガル語諸国共同体を結成している。 ほかにカリブ海の諸島など、ポルトガル語と現地の諸言語が接触し形成されたクレオール諸語 (Crioulos) が、ポルトガル語と並んで話される地域もある。このほか、欧州連合の公用語としても扱われている。

ポルトガル語と最も近い主要言語は隣国のスペイン語である。ポルトガルは1129年レオン王国から独立した国家であり、現在のポルトガル語の祖先は、ドウロ川以北のポルトガル北部と、隣接するスペイン北西部のガリシア地方にあたる古代ローマの属州ガラエキアで話されていた俗ラテン語である。したがってガリシア州で話されているガリシア語とは極めて近い関係にある。現在、ガリシア語はガリシア州の公用語となっており、ポルトガル語との、特に北部ポルトガルで話されているポルトガル語との差異は小さい。

[編集] 方言

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[編集] 音韻と表記

ポルトガル語圏で最大の人口を擁するブラジルとそれ以外では、文法や語法などに若干の違いが生じている。その違いに配慮しつつ、以下ポルトガル語の特徴を記す。

[編集] 母音

前舌 中舌 後舌
i ɨ u
半狭 e o
半広 ɛ ɐ ɔ
a

記号が二つ並んでいるものは、右が円唇、左が非円唇

二重母音:

[編集] 鼻母音

[編集] 子音

両唇 唇歯 歯音 歯茎 後部歯茎 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂
閉鎖音 p b t d k g
摩擦音 β f v ð s z ʃ ʒ x ɣ χ ʁ
鼻音 m n ɲ
接近音 j
はじき音 ɾ
ふるえ音 r
側面接近音 l ʎ ɫ

記号が二つ並んでいるものは、右が有声音、左が無声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。

[編集] アクセント

例1「技術」

例2「歴史・物語」

例3「警察」

[編集] 音韻対応

p, b の後の l の多くは r へと変化した。

[編集] アルファベット

[編集] ポルトガル語の新正書法

子音のところでも記述した通り、ポルトガルとブラジルでは違う綴りで書かれる単語が少なくないが、2008年5月にポルトガル議会は今後6年かけて綴りを現在のものからブラジル風のものに変更する法案を可決した[1]。旧植民地での表記法に旧宗主国が従うという珍しい事態になっているが、これはポルトガル語圏におけるブラジルの圧倒的な経済的・文化的・学術的影響力を反映したものである。ブラジルでも2008年9月に大統領令として公布され、2012年末までの移行期間を経た上で2013年以降はこの新正書法が採用される。この正書法により、今後は一部の単語を除いて以下のようなつづりとなる。

ただ、新正書法の施行後も、ポルトガル式とブラジル式の綴りの間では相違が残る。mおよびnの前のoおよびeに強勢が来る場合、両国における発音の差を反映して、ポルトガルではóおよびéが、ブラジルではôおよびêが使用される。例: アントニオ(人名): António(ポルトガル)、Antônio(ブラジル)

[編集] 文法

[編集] 語彙

参考として、食べ物を表すポルトガル語とラテン語の単語を示す。順にポルトガル語、ラテン語、日本語である。

ポルトガル語もスペイン語と同様にアラビア語からの借用語は多いが、それらの及ぼした影響はスペイン語に比べはるかに小さい。レコンキスタが早期に完了したポルトガルではイスラム教徒の強制改宗や追放などもスペインより早く行われ、それに伴いアラビア語系の借用語も追放されていった。現在でもポルトガル人がスペイン人をさして「あいつ等スペイン人はモーロ人との混血だ」と優越感に浸ることがあるという(同様の感情は、アンダルシア、ムルシア人に対するスペインの他の地域の住民の反応に見られる)。

[編集] ポルトガル語の挨拶

[編集] 日本とポルトガル語

1543年(年代については諸説あり)、「鉄砲伝来」として記憶される種子島へのポルトガル人漂着という出来事が発生、ポルトガル人・ポルトガル語は、文献で確認できる範囲で、日本人が直接接した初のヨーロッパ人・ヨーロッパ言語となった。

以後、イエズス会によるキリシタン布教とマラッカマカオを相手とする南蛮貿易(主に近畿九州地方)においてポルトガル人が主要な役割を果たしたので、この時代に日本にはいった文物とともにポルトガル語起源の語彙が日本語に定着した。以下がその例である。[3]

  1. キリシタン関係 キリシタン デウス(※ラテン語も同形) バテレン イルマン クルス 日本人キリシタン名(小西行長の洗礼名アゴスティニョ、内藤如安細川ガラシャ等)
  2. 衣服関係 合羽 襦袢 ボタン
  3. 食品・嗜好品 タバコ パン ボーロ バッテラ 金平糖 ボーブラ(一部地域の方言で「カボチャ」)
  4. その他 カルタ トタン ビードロ バンコ(一部地域の方言で「縁台」)

欧州の言語に対して日本国内で編纂された最初の辞書は『日葡辞書』(にっぽじしょ)と呼ばれている。1603年に完成しており、ポルトガル語を通じて当時の日本語の発音を知ることもできる。日本語ポルトガル語辞書は日葡辞典と呼ばれることが多い。

1639年にポルトガル人追放令が出され、相前後して完成した鎖国体制において、日本人が接する主要なヨーロッパ人・ヨーロッパ言語はオランダ人・オランダ語に取って代わられた。明治以降も、日本人にとって重要なヨーロッパ言語は、近代化のモデルとした国々の言語(英語フランス語ドイツ語等)であり、近・現代の日本においてポルトガル語が占める位置は、クラシック音楽用語に影響を与えたイタリア語や、文学や社会思想・運動方面に影響を残したロシア語に比べても、相対的に低いものであったといわざるを得ない。まとまった数の日本人がポルトガル語と深く接する機会は、むしろ日本の外、ブラジルへの移民を通じてであったといえる。第二次世界大戦後も基本的に状況は変わらず、ポルトガル語起源の外来語も音楽関係(サンバボサノヴァファド等)他少数にとどまった。

日本および日本人とポルトガル語の関係をめぐる状況が大きく変化するのは1980年代以降である。この時期から日系ブラジル人の「出稼ぎ」を機にブラジル国籍の人口が増加し(とくに1990年出入国管理法改正がこの傾向を促進した)、2004年現在ブラジル国籍の外国人登録者数は286,557人に達している[4]。この数字を機械的にあてはめれば、現在の日本社会には、バイリンガルも含めたポルトガル語の使用者が30万人近く存在していることになり、先に述べた「南蛮・キリシタンの時代」以来の、ポルトガル語との濃密な接触の状況が発生しているといえる。これが日本社会の「多言語・多文化」状況や日本語そのものにどのような影響を与えるかは未知数であるが、今後の推移が注目される。特に、ブラジル系住民を多く抱える関東地方及び東海地方のいくつかの地方自治体では、既にポルトガル語は住民サービスに不可欠の言語のひとつとなっている。

その他、Jリーグの発足等を機にサッカーが日本の国民的スポーツとして定着するにともない、強豪国ブラジルのサッカーにまつわる単語(ボランチエラシコ等)が取り入れられ、またチーム名がポルトガル語をもとにして命名される例があらわれた(東京ヴェルディジュビロ磐田等)。またサンバカポエイラブラジリアン柔術を愛好する人やグループが日本国内で増えており、バトゥカーダパシスタジンガ等の単語や、ブラジル料理であるシュハスコフェジョアーダ等といった料理名なども知られつつある。

また、1992年に放送されたNHK大河ドラマ信長 KING OF ZIPANGU」では、宣教師ルイス・フロイスに扮したナレーターが、毎回のナレーションの締めくくりにポルトガル語で挨拶を行い、話題になった。

[編集] スペイン語との比較

詳細: en:Differences_between_Spanish_and_Portuguese

ポルトガル語は同じイベロ・ロマンス語スペイン語に非常に似ている言語である。発音や綴りが似ていたり、単語や語彙の意味が共通しているなど至るところに類似点が見られる。

スペイン語の表現より引用。

比較すると綴りにはかなりの類似点が見られる。ただし、スペイン語の挨拶では上記のように複数形が用いられるのに対し、ポルトガル語では単数形を用いる。

ヨーロッパではスペイン語とポルトガル語の両方を解する話者が少なくない。ブラジルではイスパノ・アメリカ諸国の大統領就任式のニュースなどはテレビで翻訳なしで流される。ブラジル南部のアルゼンチンウルグアイとの国境付近では、移民によってポルトゥニョール・リヴェレンセと呼ばれるスペイン語との混合語が話されている。ウルグアイのリベラとブラジルのサンタナ・ド・リブラメントは繋がった双子の都市となっているが、そこではポルトゥニョール・リヴェレンセと呼ばれる言葉が話される。

スペイン語とポルトガル語の違いについて、以下、主な点を列挙する。

[編集] 発音の違い

[編集] 文法の違い

現在では、ブラジルやポルトガルでは若年層がスペイン語を勉強し、またスペイン語圏でも特にパラグアイアルゼンチンウルグアイなどではポルトガル語学習熱が高まっている。

[編集] 脚注

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  1. ^ http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7405985.stm
  2. ^ ブラジルでは「さようなら」の表現としては1がよく使用される。2はポルトガルの「さようなら」の表現。ブラジルでは永遠の別れを指すので使用は控えた方が良い。3は「ごきげんよう」という感じの挨拶の仕方で少しフォーマル。4は直訳すると「また明日ね~」という感じで明日会う事が決まっている場合。「また来週」という風に言いたいのなら、Até semana que vem. 直訳すると「来るであろう来週まで」
  3. ^ 16世紀末から、マニラ貿易およびフランシスコ会ドミニコ会等の布教活動を通じてスペイン人・スペイン語との接触も密になり、かつこの両言語間では同源・同形の単語も多いので、いずれの起源か判別しがたい、または両者が混在している可能性が高い例もある。
  4. ^ 法務省入国管理局統計による。 http://www.moj.go.jp/

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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